ハワイの珈琲物語

ハワイはアメリカ唯一のコーヒーの産地。
Kamehameha国王の時代、スペインのDon Francisco de Paula Marinという園芸家が1817年ハワイへ渡った際にコーヒーを持ち込んだのがその始まり。当初は植樹に成功しなかったが、1825年オアフ市長Chie Bokiが、ブラジルから取り寄せたコーヒーの植樹がManoa Valleyにて成功。その後、島の各地域にてコーヒーの植樹が広まった。現在では、Kauai, Oahu, Maui, Mokokaiとハワイ島、各地域に約950を上回る農場でコーヒーが栽培されている、その中のほとんどが小規模な家族経営農家、総面積は7900エーカーにおよぶ。

コナ地区

ハワイのコーヒーといえば、人々の脳裏に浮かんでくるのはコナ、コナコーヒー。
1828年、宣教師Samuel Rugglesがハワイ島コナ地区にてコーヒーを栽培し始めた。現在に至るまで、コナコーヒーの生産量はハワイコーヒーの総生産の半分を占める。約600あまりある独立農場は、コナ地区の北から南にまで及ぶ。
コナコーヒーの多くは、Manua Loaの西側、Hualailai火山の斜面の、中、低海抜地域、約3000-2000エーカーほどの高度に位置する場所で栽培されている。火山エリアの黒土には適度な㏗値と豊富なミネラルが含まれ、土壌の含水量を維持するのに最適である。コナ地区は早朝に太陽が十分にあたり、午後になると霧が出てきて、コーヒーの樹にとっては強すぎる午後の太陽の光をタイミングよく避けられるのである。よって、コーヒーが花を咲かせ実を実らせるのに適した気候といえる。

アメリカの作家、マーク・トウェインは1866年7月のLetters from Hawaiiで、「Kona coffee has a richer flavor than any other, be it grown where it may and call it by what name you please.」と述べた。そして、コナコーヒーは彼のお気に入りの一つになった。コーヒーの専門家はコナコーヒーはジャマイカブルーマウンテンコーヒーに匹敵すると言う。まろやかな口当たりと、ほんのりフルーティな酸味、ローストの程度により、後味の甘いサッパリとしたお茶のようにも、スッキリとしたジュースのようにも変化する。

カウー地区

近年、アメリカ現地で注目を集め始めているのは、ハワイのカウーコーヒー。
栽培されているのはManua Loaの山の斜面、海抜約3000-2000エーカーの高度な地区。受賞した農園の多くはハワイ島KA’U地区の最南端に位置するPahalaタウンにある。
KA’U地区の地形は変化に富んでいる、コーヒーを栽培するのに適した太陽の当たる斜面、朝の十分な日差しと、霧につつまれる午後の気候という条件に加え、世界で最大のManua Loa火山のミネラル質を豊富に含む黒土は、適度な㏗値の多孔質土壌に恵まれ、水分バランスを保ち、コーヒーの木を育てる環境をつくるのに最も最適といえる。

カウー地区はもともとサトウキビ栽培が盛んで、1894年より、少しづつコーヒーの植樹が始まった。1996年、砂糖の価格が大きく下落したため、カウー地区は積極的にサトウキビ栽培からコーヒーの植樹に切り替え始めた。農民たちの努力と、良質な土壌条件とハイレベルな農耕技術により、地区別、全国別の品評会にて優れた評価を獲得。2011年、SCAA主催の品評会にて、カウーコーヒーはハワイ地区での一位を獲得しただけでなく、世界トップレベルコーヒーの座も獲得。専門家たちからは、カウーコーヒーは花園の中を散歩しているような独特な香りを持ち、繊細で滑らかで、口当たりが芳醇であるとの評価も得た。世界的で知名度のあるコーヒーブランドのファンたちが競って購入、ハワイのコーヒーグルメ界では後発のスターと言われている。

フレーバーコーヒー

コーヒーが食用され始めた起源についてだが、それはエチオピアの羊飼いKaldiの体験がその由縁と言われている。ある日、のんびりと過ごしていた羊の群れが、突然、運送されてきた貨物に向かって興奮気味に激しく鳴き始めた。近隣の僧侶が何度もの試行錯誤を重ね、その麻袋の中の赤い色の神秘的な実を煮出すと、なんと、精神を奮い立たせる神秘的な飲み物が生まれたのだ。それがきっかけとなり、中東に入ってきた。香料を愛してやまない中東人により、数百年前からコーヒーの中に香料やナッツを加えるようになったと言われている。

現在では、フレーバーを好む人々に向けて、コーヒーにフレーバーシロップを加えるだけでなく、コーヒーの焙煎過程で、様々なフレーバーを直接加え、焙煎する。ハワイは観光産業が盛んなため、世界各地の消費者の好みとそのニーズを満たすため、フレーバーコーヒーが充実している。

それは、スモークサーモンのように、一見簡単そうに見えるかもしれないが、いかに異なるフレーバーをコーヒー豆自体の香りを壊さないように組み合わせるか、いかにコーヒー本来の香りにフレーバーを加え、その味わいを引き出すか、それは、「レミーの美味しいレストラン」(映画)のセリフにあるように:一見平凡に見えるかもしれないが、それは探求され、奥深い。ローストのプロフェッショナルの力はあなどれないのだ。

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